明るい笑顔で財福を授けてくれる大黒さまのルーツを訪ねると、もとはインドの神さまで、摩訶迦羅(マハーカーラ)と呼ばれている三面六臂の恐ろしい神さまでした。大黒さまは、インドでは闘いの神として尊ばれ、中国に渡ると食物の神として台所に祀られます。そして日本では農業の神としても信仰されて、やがて七福神の代表格ともなりました。
当山の大黒さまの由来は、元禄13年に第10世の円実院日真上人が、疲弊した諸堂の再建に苦心していた折、日真上人の夢に大黒さまが現れたので、解体した本堂の跡を捜したところ、米俵に乗って右足を前に出した大黒さまを感得した、といわれています。日真上人は、この大黒さまをそのお姿から「走(はしり)大黒尊天」とお呼びして、一心に祈念したところ、無事に諸堂の再建を果たすことが出来た、と伝えられています。
「走り回って福を授ける」という功徳を広く世間に授けようと、昭和41年に「興栄走大黒会」が結成されて、甲子参りと大祭が挙行され、多くの講員・信者が信仰するところとなりました。